ダンサー育成プロジェクト
2019年〜2022年まで、ダンスマルシェ ではダンサー育成プロジェクトを実施いたしました。
皆様の応援のお陰で、このプロジェクト後にダンサー達は、海外に行ったり、たくさんの公演に出演したりと、それぞれがそれぞれの道を進め活躍しています。
私のやっとことはほんの僅かですが、少しでも意義のあるプロジェクトであったと思ってくれれば幸いです。
海外カンパニーのように、
『毎日のレッスン(無料)+公演リハーサル+交通費支給』
という踊る環境をつくる事で、日本においても踊りに専念できる若手ダンサーの育成を目指しております。
また当プロジェクトは、若手育成にご賛同してくださる支援者様の寄付(クラウドファンディング)により運営されています。
2019〜2022 Member
メンバーはその都度オーディションにより選ばれたダンサー達です。
初年度の2019年Carmen 6名。2020年は、緊急事態宣言により中止となりたった1ヶ月の幻のメンバー5名。
2020年〜2021年1年間のカンパニーメンバーとして6名 1年間の日々にレッスン&4つの公演に出演
2022年 星の王子さま 東京公演&高知公演6名。
そして4回実施したクラウドファンディングも皆様の応援のお陰で全てサクセスいたしました。
心より御礼申し上げます。
〜ダンサー育成プロジェクト発足について〜
文化庁の新進芸術家制度特別研修員としてドイツのカンパニーでの研修をきっかけに、カンパニーへ行き来するようになり、当たり前のような毎日のレッスンと振付家と共にリハーサル・本番があるから、上手くなる環境を目の当たりにして、踊る環境について考えることが多くなりました。
日本はバレエ教室・コンクールは盛んでも、学生後の「踊る環境がない」私の20年前の環境と変わらないという現実です。
バレエ団に入団できるのもわずか、お月謝を払いレッスンを受ける、海外志向は強いけれど、単発な公演を次から次へと踊りこなす日々。
また、日本は今までモダンダンスやコンテンポラリー、バレエなどジャンルが別れていましたが、世界基準を考えるとジャンルレスになっているようにも思えるからこそ、今後踊りのボキャブラリーは必要になってきます。
特にコンテンポラリーの作品は振付家によって多様で、踊りのボキャブラリーを増やしたいけどどうして良いかもわからないという話も耳にします。 だからこそ単発なリハーサルだけのこなす踊りではなく、振付家と向き合う時間が必要不可欠。
また先生と生徒の関係ではなく、振付家とダンサーとしての関係を育てることで、プロダンサーとしての意識も高くなるとも考えています。
プロジェクを立ち上げたきっかけ
2018年夏、若いダンサーに踊りや今後について相談されたのがきっかけです。
「もっと踊りたいのだけど、バイトをしながら、レッスンするのもお金がかかるし、単発の公演ばかりで、踊りにもっと専念したいけど環境がない。ドイツのカンパニーはどうでしたか?」などなど、私は聞いているうちに、私の20年前と全く変わらない状況で、その上インターネットの普及で情報過多で世界が近くなり、余計に今何を踊りたいのか?どういう作品を踊りたいのか?などでとても迷っているように感じました。
ちょうどその頃も、私もドイツと日本を行き来をしていたので、海外のカンパニーで踊る環境を真近で見てきて、人が入れ替わりながらもカンパニーが成長する過程「ダンサーが育つ=カンパニーが育つ=作品のクオリティーが上がる」というのも数年に渡り見てきました。ドイツで観ていた作品は、日本のダンサーには難しいし、ボキャブラリーがないと踊れないなぁ、毎日踊る環境もないから身体も弱いしね。
ダンサー育たたないと、良い作品にもならないもんね・・・
日本では仕方ないよね・・
と、踊る環境について半分諦めのジレンマを感じていました。
そんな時に若いダンサーからの相談。
「踊る環境を作ってあげたいなぁ。だったら公演をやろう!」となり、すぐさま仲間のスタッフに連絡をとりミーティング。翌週には会場を押さえていました!
日本における踊る環境を考える
踊りに専念したいのだけど、お金も稼がなくてはならない。バイトや教えをする人、会社に勤めながら深夜に練習する人、親に援助をしてもらう人。それでも資金が続かずダンサーを諦めてしまう人もいます。そんな厳しい世界です。
まず今回のダンサー育成プロジェクトでは日本でも海外カンパニーのように踊る環境を作ることが目標でした。
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毎日のレッスン(無料)
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毎日のリハーサル
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お給料が出せないけど、交通費支給(月々15000円)
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踊りの面だけでなく、ファン作り等をサポート
というバックアップを考えました。
その他、
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バイトや教え他のリハーサルもできるように時間は10時から13時でも短期集中
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公演までの期間は3ヶ月半、毎日みんなと顔を合わせる(コミュニケーションの大切さや仲間意識)
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先生と生徒でなくて振付家とダンサーの関係。お稽古の延長で月謝を払ってのレッスンではなくレッスン費は無料にすることで、自分が踊ることに対して責任を持てるようになりダンサーとして成長する。
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一人の振付家としっかり向き合うことで、踊りのボキャブラリー(踊りの言語)を身につけて増やす。
など、踊ることだけでなく、踊る環境や悩みを共に考え、ダンサー達と向き合って行きたいと思いました。
またこのプロジェクトを実行するにあたり、日本においての「ダンサー」「舞踊家」という職業は成り立ちにくい環境である今の現状を多くの方に知ってもらい、応援してくれる方々と一緒にダンサーを育てていきたい!と考えています。
どうぞ宜しくお願い致します。
ダンスマルシェ主宰 池上直子